你好!台中 ~ にいはお!たいちゅう ~留学記

70まじか、ものずきシニアの台湾台中留学生活

「中国語は発音が大事」 ~私の場合~

f:id:nihaotaichung:20181227105806j:plain


  さて、今日は発音の話。発音と言うとマニアックなテーマになりがちなので、語学や中国語にまったく興味のない人は、さっさと読み飛ばしてください。

 

 私は退職したことをきっかけに、いくつか新しいことを始めたのですが、それでもまだ少し、時間に余裕がありました。そんなとき、どこからか「中国語でも始めようか……」という声がして、とにかく暇なので、その声にしたがったわけです。

 

 どんな外国語を勉強するにも、共通要素があります。始めにやることは、まずその言葉に対する興味を深め、「マスターしてやる!!」という意欲をできるだけ膨らませることです。それから、その言葉に向き合いますが、一番最初にやることは決まってます。発音を覚えることです。

 ネイティブとの関係で言えば、どんな言葉も、発音がまずければ話しても通じません。通じない人はがっかりですが、それは自業自得です。逆に発音が良ければ、たった一つの単語を口にするだけで十分に意思疎通できる場面もあります。

 発音する話し手にとってみると、覚えた発音は彼がその外国語を口にする限り、死ぬまでついて回ります(☜もちろん、いつでも修正することができますが、自分で「これではまずい。改善しよう…」と思わない限り、発音の矯正はなかなかめんどうですな…)。

 「読めて書ければ結構」として音声を捨てる勉強方法もありますが、私はやはり外国語を覚える醍醐味は、相手の顔を見ながら会話することではないかと思っています。

 しかし発音の習得には、大きな問題が待ち構えています。それは、一丁目一番地の作業でありながら、限りなく地味で面白みに欠けることです。小さい子供であれば親と周囲の人の発音をじかに聞きながら数年かけて覚える正しい発音を、学習者はせいぜい数か月(時には数週間で)で素早く覚えなければなりません。特に男性には、口を揃えてチーチーパッパ……という方法に抵抗感をもつ人が多いのでは、と思います。

 面白くなくとも、「これをやっておくと、後でいい結果になるから、なんでもいいからやりなさい」と言い含めて、あるスキルを繰り返させる、身につけさせる練習を訓練といいます。正確な発音の習得は、まさに訓練の結果です。流暢な発音ができている人は、イコール学習の初期段階で地味な作業を真面目に訓練した人です。

 まぁ、将来のある日、正確で流暢な、通じる中国語を話せる自分がいることを夢見て、粛々と発音訓練(あるいは矯正訓練)に励むことです。

 

 私は2011年の春から中国語を始めたのですが、最初に取り組んだ中国語テキストが、NHKの中国語講座『メロディーで覚える中国語』(2003年4月〰9月放送。2004年10月〰2005年3月再放送)です。実はその昔、一度中国語をやってみたんですね。その時に使ったこのテキストと吹き込みCDがたまたま残っていたので、再び手に取り、自宅二階で窓の外の庭を眺めながらCDを聴き、口を動かしました(今となっては、なんとも懐かしい思い出ですな)。

 半年続くこの講座の狙いは極めてシンプルで、それは「中国語を話す・読むうえで、いかに声調が大切か」の一言です。講師は榎本英雄先生。「中国語は発音が大事」というときの「発音」とは、50%が音そのもの(=唇や舌を使ってつくる音)、50%が声調(声の上げ下げ)であって、中国語では、両者が表裏一体・不可分のセットで初めて一つの音節(=漢字一字)が一定の意味を持ちます。だから仮にまったく同じ音の言葉(単語)が二つ以上あっても、声調が違うなら、それらは別の言葉です。

 例えばヒトの「母」と植物の「麻」と動物の「馬」と動詞の「叱る」という言葉には、その意味する対象や品詞、言葉の使用場面などの点でお互い何の共通性もありませんが、中国語では全く同じma(マー)という音を使います。この同じ音を4種類の声調(=四声)で発音することによって、4つの違う言葉(概念)を表わします(これら4つの言葉の漢字は、それぞれ妈,麻,马,骂。それらの意味は上記のとおり。)。だから同じ音が声調という方法を通すと、一挙4倍に使いでが 増すわけです(☜これぞ究極の使いまわし)!

 この講座では毎回、いろいろな声調の組み合わせパターンからなる例文を一つ取りあげ、パターンを解説してから、何度も読む練習をします。単純といえばきわめて単純、愚直と言ってもいいような構成なのですが、声調は中国語を覚えるとき、話すときのきわめて重要な要素なので、私は自分がこれを最初のテキストに選んだ(☜実態は、たまたま手元にあっただけなのですが)ことが結果的にとても正しかった、と思っています。その後、周囲の学習者から中国語を聞く機会が増えましたが、学習者の多くは、発音には注意しても声調はテキトーというタイプでした。外国人が「中国語はまるで歌(≒メロディー)を聴くようだ」と言うのは中国語の声調の側面に反応しているのですが、この譬えでいうと、多くの人は歌えていないのです。

 その後も私は時々、歴代のNHKラジオ講座の初級テキストを眺めますが、最近のテキストは実用フレーズを並べることに忙しく、これほど真っ向から声調に取り組んだ講座はこれだけなのでは、と思います。

 

 ただし残念ながら、そう言う私の中国語は、中国人ネイティブから「発音がいいですね」と褒められたことがほとんどありません。一度なんぞ中国人の友達の前で中国語の文章を読みあげ、「どうだろう? 分かる?」と聞いてみたことがあります。しかし残念ながら、〇とも☓とも今いちはっきりしない反応でした。

 まぁ、今のところ「何を言っているのかさっぱり分からない…」と言われたことはありませんが…。なんとも言いようがない発音なのでしょうか……。

 だから、私は正々堂々と発音(?)する一方で、必ずしも自信があるわけではないのです。

 

 今日は ここまで。