你好!台中 ~ にいはお!たいちゅう ~留学記

70まじか、ものずきシニアの台湾台中留学生活

まとめると (2)

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※最後の画像は、またも大学構内のガジュマル。大きく広がる枝の下を、今日も学生が行き来しています。うしろは大学の正門。私が通った華語中心も、すぐ近くです。

 

 さて、昨年11月27日以来、約半年にわたって連ねてきた本ブログも、今回が最終回となりました。

 前回と今回の2回にわたって、このたびの3か月の留学をまとめます。

 

 

7 学校行事

 私が在籍したのは春学期だけでしたが、3か月の間、通常の授業以外に、①日帰りバス旅行、②野外ゲーム大会、③料理教室、④印鑑の篆刻などの行事が実施されました。これらの行事は義務参加ではなく、希望者が原則として経費を払って参加します。私が参加したバス旅行の規模は、50人乗りバス一台でした。

 こうした学校の通例で、学期ごとに学生の入れ替わりがあるので、行事の参加者にはやはり新入生が多く、以前から在籍している学生の参加は少ないです。

 ふだん出席するクラスはレベル別が基本ですが、こうした機会の参加者は「誰でもOK」なので、ほかの級やクラスの学生(☜但し、日本人とは限りません)と知り合う機会として、気楽に参加したらいいのでは? 

 

8 クラス編成

  私は4級と判定され、必修科目クラスの一つ、Z老師が担当する12名(中途で1名が来なくなり、1名が帰国)のクラスに配属されました。

 最も多いベトナム国籍が5名、アメリカが2名、インドネシアとモンゴル、イタリア、韓国、日本(☜私です)が各1名という混成クラスでした。高齢者は私だけで、3名が10代、残りが20代。また、「一学期だけ」という者は私だけで、初歩の1級から持ちあがってきた者、去年から参加した者など、いろいろでした。

 選択科目クラス2つ(中級)は、一つが10数名、一つが8名程度。こちらの国籍もアジアが主体ですが、タイ、インドネシア、韓国、モンゴルなどばらばらです。やはり、ほとんどが20代です。

 

9 テキスト・教材・テスト

 必修科目クラスでは、この3か月間でテキスト『新版實用視聽華語』の2巻11課から3巻6課まで、合計9課を終えました。テストや休暇もはさむので、平均すると毎週一課の進度でした。一課ごとに、指定の「作業簿」(=宿題ノート)を消化させるほか、小テストをやります。教材はボードに投影する文法説明資料と配布するペーパー資料で、いずれも老師作成。特にパワポで作成した文法説明資料は、イラストも多用し、工夫した楽しいものでした。

 必修クラスの授業は、新出単語と特殊構文の説明、問題を解くことによる理解度のチェックが主なものでした。

 選択科目では、毎回趣向を変えたテーマが設定され、ネット上の動画がたびたび教材として取り上げられました。ほかに老師が作成した資料が配布されました。

 こちらではほぼ毎回発表(プレゼン)機会が設定されましたが、私としては、もっと多くても良かったです。 

 

10  授業を評価する機会

 学期が3か月目に入った頃に、老師の授業ぶりの良し悪しを学生が評価するアンケートが実施されました。

 この際は授業時間を20分程度残した時間に事務局の人が登場し、アンケートを配ります。これがけっこう精緻なもので、質問は数枚、数十項目にわたります。文章を記載する部分まであります。

 私がーなにしろ初めて書くのでー真面目に読んで回答を記入していると、同学たちは早々に提出して、次々に帰って行きます。あっと言う間に時間は終了してしまいました。とても足りません。結論:どう考えても、同学たちがまともに考えて回答しているとは思われません。…そういうアンケートでした。

 こうして評価される授業って、いったい……??

 

11 言語交換

 留学したからといって、中国語の発話量が格段に増えるわけではありません。授業のなかで主となるのは聞くことであって、話す機会は、老師にあてられて問題に答える場面か自分から質問する場面かプレゼンの場面に限られます。決して多くありません。 

 言語交換は①比較的素 (す) に近い中国語が聴ける、②自分の中国語がどの程度通じるか試すことができる、貴重な機会です。そうではあるものの、留学生にとって、言語交換できる相手はおいそれとは見つかりません。

 華語中心では、希望者にパートナーを紹介してくれます。この制度では、紹介相手は中心が所属する大学の大学生であって、かつ一度に一人だけです (☜後日追記:言語交換パートナーの紹介方法は、語学学校によって違います。掲示板方式で、管理は学生個人に任せる学校もあるようです。) 。

 私は今回の留学中、この制度を利用しましたが、実際の話し合いが実現したのは都合3回だけでした。パートナーが決まったのがすでに3月末、交換を始めたのが4月の中旬であり、その後もパートナーが現役の大学生であるためにいろいろと忙しく、私も試験勉強と重なったりで、数回キャンセルがあったためです。

 もともと応じる相手があっての話であり、マッチングの手間や時間も考慮すると、できるだけ早めに申し込んでおいた方がよさそうです。それと、私の希望を言えば、もう一人言語交換のパートナーが欲しいところです。大学生の方はいろいろ忙しいかもしれませんが、当方は時間に余裕がありますので。 

 

12  語学学校と私

 (注:以下に言う「語学学校」は、私が在籍した華語中心ではなく,台湾の大学付属の語学学校全般です。)

 学生が教室で発話する機会・場面は多くない、というのが私の総括です。

 語学学校が想定する学生は「初めて中国語を学ぶ者」です。そのため、中級までは必修クラスでテキストを使って単語や構文を説明し、練習します。また、同時に漢字(繁体字)を導入します。この部分では、やはり教師側からの入力が主になります。

 並行して選択科目クラスでスピーキングを訓練しますが、これも発話の機会・量としては決して十分とは言えません。

 私の要望を言うなら、毎日数時間、話す練習をしたいところでした。

 私のようにリスニングの力がお粗末な学生の場合、これは高望みでしょうか……?

 (☜今回、このパーツを書くに当たり、私が通った華語中心のホームページをあらためて読み返すと、この学校には、通常コースのほかに Conversation Course(会話コース)があるとのこと。知りませんでした。学校にいる間に、このコースの詳細を一度聞いてみるべきでした。後の祭り…)

 

13   成績と昇級

  各学期の評価結果は 、履修したクラスごとに、A (80点以上) 、B (70点以上) 、C (60点以上) 、♯ (59点以下) の4段階に応じて評価されます。スコア(成績証明書)の「評価」の欄に、評価結果と、具体的な点数が併記されます(☜この点数の算定式は不明です)。

 私は学期が終了して早々に帰国したので、成績証明書はメールで配信されました(☜ もしも ペーパーが必要なら、連絡すれば国際郵便で送付してくれます)。私は春学期に必修科目の1クラスと選択科目2クラスの計3クラスを履修したので、もちろん評価結果も3つでした。

 昇級の可否は当然、その前の学期の成績が基準になります。Aなら問題なく昇級です。そして評価を決めるものは、具体的に言うと、筆記試験と設定課題に基づく口述試験の成績です。仮に中国語を1級から始めて、各学期の成績が順調であれば、1年4学期を終えて5級に進むことになります。成績が極めて優秀ならば、飛び級の制度もあります。

 しかし一方では、例えば私のようにリスニングの力が弱い学生の場合、高いレベルに行くほど、こうした定式化した試験の結果だけでは実力が分からないケースも出てくる気がします。 

 

14  同学たち

  3カ月の間、3つのクラスに出席して、いくつかびっくりさせられることがありました。ここにはとりあげませんが、かなり個性的な同学もいました。書ける範囲で書くと…

(1)遅刻

 必修クラスでは、毎日必ず遅刻者がいました。

 毎朝、開始時刻までに着席している者は数人で、授業の開始後に遅刻者が三々五々入ってきます。いつも私の隣に座るベトナム人同学の場合、火曜日だけは、朝の仕事を終えてから登校してきます。これはしかたありません。しかし、遅刻する全員が、彼のように朝の仕事をしているわけではないでしょう。

(2)もぐもぐ

 必修クラスでは、いつも授業中に食事する者がいました。

 私が所属したのは午前組なので、授業は朝の8時10分から始まります。食事といってもパンと飲み物程度ですが、数人が(☜いつも同じメンバーです)授業を聞きながら、もぐもぐ・むしゃむしゃ。

 このクラスの学生は、みな18歳以上、つまり大人です。私の考えでは、ここは語学教育の場所であって、食べる教育・食べさせる教育をする場所ではありません。ましてや映画館でもスタジアムでもありません。学生は授業に出る前に食事を済ませるべきです。食べていると授業に間に合わないなら、食べなければいいのです。食べないで困るのは、せいぜい本人のお腹が空くことだけです。(☜後日追記:華語中心の時間割は、50分の授業が終るごとに休み時間が10分です。午前中の休み時間には、持参した軽食を口に入れる学生をよく見かけました。休み時間なら、何をしようと沒關係です。)

 私が履修した3クラスの老師はすべて同一人物で、時々は老師が授業のなかで、自分で持参したスナック菓子を学生に配る場面もありました。しかし、「だから授業中に食事したってかまわないじゃないか…」と言う学生がいるとしたら、私の考えは「それとこれは違うだろ!」です。

 以上 (1) と (2) の二点、私は最後までイライラさせられましたが、結局は学校にも老師にも何も言いませんでした。(☜後日追記:一慨には言えませんが、他の国から来ている留学生の場合、語学に集中できる日本人より厳しい生活条件のもとで通学している者が多いことは確かです。しかし、そのことが毎日の遅刻やもぐもぐの正当な理由になるわけではありません。)

 (2)については、世界の教育場面を見渡すと教室のなかに軽食や菓子を置く国もあり、これを認めるかどうかは担当教師や学校の考え方によるそうです。はたして日本の語学学校では、あるいは大学では、本件どうしているのでしょうか…。(後日後記:本件、一般に「台湾の大学では、授業中に食事してもOK」と、帰国後にひょんなことから知りました。私は滞在中、幾度も大学の授業を窓の外から覗いたり、大学生と言語交換する機会があったのですが、食事する学生はたまたま見かけず、私が話題にあげることも無かったために、気づきませんでした。ふりかえってみると、私の通った華語中心の方針は台湾の大学の実態を踏襲したにすぎず、ちなみに聞いてみると、ほとんどの語学学校でもOKのようです。☜実際、日本人留学生のなかには「今朝は、こんな朝食をつくって教室で食べました」と画像をアップする方もいらっしゃいます…。本件、自分がどうするかは一人一人の考え方にかかっています。)

(3)発音(☜ここでは声調も含めた言葉とします)

 私は自分の発音が合格点だと言うつもりはまったくありませんが、3つのクラスで同学たちが発表する中国語を聴いた限りでは、国籍を問わず、発音の良い者は少数でした(☜中国語の正確さは、正しい声調で話すだけでも格段にアップしますが、これもしっかりできる人は少ないです)。言いたいことがかなり自由に話せるレベルの学生であっても、発音が良い・聴きやすいとは限りません。これはなぜか?

 その理由は簡単で、語学学校で学ぶと言っても、その学習項目のなかに、発音を集中的にチェックし、訓練する機会は無いのです (後日追記:学生全員が初心者である1級の学習項目には、当然、発音の習得があります。しかし、①この種の語学学校では、中級以上からスタートする学生も多いこと、②いったん発音を通過すると、学習の重点は文法や単語に移行してしまい、発音チェックの機会は無きに等しいのです) 。老師は学生の発表を聞く際に発音も評価するそうですが、評価するだけで、指摘し、指導訓練する機会はありません。そもそも発音の訓練は一人一人を相手にやるしかありませんが、老師はプログラムを進めることに忙しく、そこまでは手が回らないのです。その結果、多くの学生には、どうしても自己流の発音が固定化します。

 発音は語学の一丁目一番地です。まずい発音は、どんなに面白いこと、どんなに大切なことを言っても、聴く人を困惑させ疲れさせます。つきあう時間が長い友達や恋人ならば、少々の発音のずれは別の能力で補完して理解してくれるでしょうが、ふつうの人には、この種の配慮がありません。

 私は語学学校では、定期的に発音の評価・訓練の機会を設けるべきだと思います。

(4)会話力

  必修クラスの同学たち、現在は同じ4級に属していますが、それぞれの入学時期は学期開始の1年以上前から3か月前まで、ばらばらです(☜この華語中心では、各自の学生番号を読むと入学時期が分かります)。それぞれの入学までの中国語学習歴も、入学してからの勉強ぶりや伸びも違うので、これは当然です。

 そして、同じ4級であっても全体的にみて、同学たちの聴き分ける力、話す力は私よりずっと上です。私が属した必修クラスという狭い範囲での観察結果で言えば、特にベトナム人同学は会話力に優れていました。(これだけ聴ける・話せる者が、どうして4級なのだろう?)と思うことがしばしばでした。本当は、「これだけ聴けない・話せない者(☜私のこと)が、どうして4級なのだろう?」が正しい疑問なのかもしれませんが…。まぁ、さほどに、読み書き能力と聴き話す能力はー私が思うにー別物なのです。 

 

15 病気・事故

 滞在中、体重は少し落ちましたが、幸い事故にも病気にも逢わずにすみました。

 但し、暑くなって以降、蚊には何度も刺されました。蚊は部屋に侵入してくるだけでなく、入った食堂の隅で飛んでいることもあります。少なくとも居住する部屋には、必ず電気蚊取り装置と蚊取りスプレーを装備することを勧めます。

 海外旅行保険は必須です。私の場合、もともと持っていたauWALLETクレジットカード(ゴールド)についている「海外旅行あんしん保険」でカバーできたので、何もせずに済み、大いに助かりました。但し、この保険の適用期間は、いったん日本を出国してから90日までです。半年以上留学するなどの場合は、間に一度帰国する必要があります。また、滞在期間が91日以上となる場合、他の海外旅行保険はこれと併用できないと聞いています。注意してください。

 

16 留学の成果

 さて、それでは最も肝心な問題:つまり留学の目的である中国語の上達ーー私の場合は特に聽力(リスニング)の向上ーーは、どの程度実現したのでしょうか?

 申し訳ありませんが、これは3か月程度では全然分かりません。しいて言えば、聴いていると次のような変化を感じることがあります。

①ときどき特定の単語が耳に残ることがある

②単語は一つも耳に残らないが、それでも話者の意図が分かることがある

しかし、しょせん3カ月では、「お試しコース」に近いのでしょう。 

 

17  高齢者の留学

 60代後半となって次第に体力が落ちる時期であり、かつ、昨年末にちょっとした病気を抱え込んだため、滞在中はあまり無理をしないように過ごしました。具体的には、市内の観光地に出かける、ほかの都市に遠出するなどの場合には、午前早めに出発して午後早めに戻りました。そのおかげかどうか、3か月、風邪をひくこともなく帰国しました。

 住み始めた3月初めの数週間、想像したよりずっと寒かったのが一番の危機でした。持って来ていない以上、防寒用の衣類を買い足せばよいだけなのですが、どこでどんなものを売っているのかー実用的な衣料品の店ーが分かりません。落下傘降下状態なので、適切な生活情報を教えてくれる知人がいません。外国人にとっては、自分の目と足で見つけるまで、必要な情報を耳で聞く回路がありません(☜日本で生活する外国人も、同じ悩みを抱えます)。

 部屋に調理用具がないので、一日に数回は必ず外出して食事しなければなりません。それでもアパートから飲食店街が近いので、散歩を兼ねて外出しました。いささか面倒に思うこともありましたが、一日に必ず数回外出する生活は結果的に悪くない、と思います。

 通った華語中心には、60代(と見える)の同学が数名いました。私の結論として、こうした語学学校では、学生の年代は沒關係(関係なし)です。本人に興味と体力と若干の資力があるなら、現代の60代はまったく障害材料にならないと感じます。

 

18  留学前の中国語

   最後に、留学する前の中国語能力についてです。

 「留学までに、どの程度勉強しておくといいのか?」なのか?  それとも「留学して勉強するのだから、事前に勉強する必要なんかないでしょ!」なのか?

 これは人それぞれの考え方で、どちらが正しい・正しくないの議論ではありません。台湾滞在者の複数のブログを眺めると、また私が通った華語中心の1級のメンバーを見ても、「中国語ゼロ」の落下傘降下状態で留学した方がたくさんいます。台湾は治安の悪い国でなく、親日国でもあり、学費さえ払い込めば簡単に語学留学を始められます。「ゼロ」の人の場合、最初の期間ー少なくとも数 カ月単位でーの苦労が多いだろうと想像しますが、それを「面白い」と感じる余裕があれば、慣れるのは結局は時間の問題でしょう。

 私としては、現地でゼロから中国語を始めるより、日本で一定の基礎の勉強を終えてから留学することを勧めます。これには、ちゃんとした理由があります。それは、発音にせよ文法にせよ慣用構文にせよ、日本語で説明される方がずっと分かりやすいからです。では「一定の基礎を終える」とは、具体的にはどの程度のレベルをいうのでしょうか? 私の独断で線引きすると、これは中検3級かHSK4級程度、つまり初級をひとまずクリアーしたレベルではないでしょうか。

 しかし、留学は学習プラス生活です。「まずは台湾で生活したい。ついでに中国語も…」という方がいるかもしれません。あるいは「いきなり中国語のシャワーを浴びたい!」という方もいるでしょう。それ以前に、そもそも独学が苦手な人もいるかもしれません。自分の気持ちに従ってください。

 

 

 

 というわけで、約半年間続けてきた、留学をテーマとする私のブログはこのへんで終わりです。

 ところでこの「留学」と言う言葉ですが、帰国後になって、「数か月程度の滞在は「留学」と言わず「遊学」と言うのだ」と聞きました。

 まぁ、100パーセント「遊」んでいたわけではないのですが、なかなか言い得て妙な言葉で、私の滞在はまさに遊学だったのかもしれません。

 

 「ものずき高齢者が何を書いているのか」という皆さん、

 中国語を勉強中の皆さん、あるいは台湾に留学を考えている皆さん、

 あるいは単に「台湾、いいよね」という皆さんなど、

 このブログをご愛読いただいた皆さん、ありがとうございました。

 もしも私に再度留学する機会があれば、是非再開したいと思います。

 また、いつかどこかでお会いしましょう。

 

 

 それでは! これでおしまい!