你好!台中 ~ にいはお!たいちゅう ~留学記

70まじか、ものずきシニアの台湾台中留学生活

台中公園

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※台中神社跡。奉納者の名前が刻まれた石柱は、かつて参道わきに並んでいたもの。奥の高い部分が神社本体の敷地。敷地の中央に小さく見えるのが孔子像です。

 

 さて今日は、公園を歩きながら台湾の現代史を勉強することができる、台中公園を紹介します。

 

 台中公園を訪問したのは、12日(日曜日)のことです。

 実はこの週末あたり、一度台湾南部に旅行しようかと考えていました。高速鉄道を使えば、台中から高雄(左營)は70分です。そこで日帰りの簡単な高雄市内観光ルートを考え、最後にあらためて財布をのぞくと、ありゃ! 高雄まで往復するには、手元の台湾元が全然足りません。 

 今私が住んでいるアパートは、台湾ではどこでもやるように、入居時に保証金を要求します。この保証金は、退去時に返金されます。私は自分の退去時期が近くなり、ということは、預けてある保証金が返還されるので、この間台湾元に両替する額を調整していたのです。

 ところが先日、管理者に退去を申し出てみると、保証金が返還されるのは、なんと清算日でもある退去当日なのでした。私は退去翌日にはもう帰国します。ということは、これでは台湾元の使いようがありません。結局、当面使う台湾元は、両替して確保せざるをえませんでした。

 はたして台湾滞在中、これが最後の両替になるでしょうか…? 

 

 そこで(お金はなくとも、行ける場所はあるのでは…)と思いついたのが、台中公園でした。休みの日に足を向ける先は、やはり公園です。池と湖心亭は知っています。ネットで下調べすると、意外に深いストーリーがありそうです。台中駅にも歩いて近いです。

 いよいよ夏到来か、という感じの暑い日でした。朝、スマホで見た予報によると、この日の最高気温は29℃、体感気温は34℃とのこと。

 

 

 さて、その台中公園ですが、私は公園路側の入口から入って、時計回りに公園の中を一周しました(☜じっくり見ても、一時間程度だと思います)。私の「台中公園訪問レポート」の要点は、次の2つです。

(1)日曜日午後のこの時間、公園の中にいた人々を台湾人と外国人に分けると、外国人の方がずっと多かったです。この分類は同時に年齢層の違いでもあって、外国人は主に若者、台湾人は主に年配の男性です。

 その外国人ですが、ベトナム人インドネシア人までは分かりましたが、あとは分かりません。公園のあちこちで、聞いたことはあるが理解不能な言葉が飛び交っていました。一人で来ている人はおらず、必ずカップルかグループです。グループは芝生のところどころに場所を占め、かといって日本の花見宴会のように、飲み物や料理を広げているわけではなく、おとなしく談笑しています。静かなピクニックという感じです(☜公園内はアルコール禁止です)。彼らは、どんなつながりの仲間でしょう? 同郷者、あるいは同じ職場のメンバーにも見えます。

 台湾人の方は、子供連れが公園の一角にある児童公園に来ているほかは、老人たちが公園奥の「樹の下涼み台」ふうな場所で、横になったり、仲間で中国将棋に興じたりしていました。ここが彼らがいつも集まる場所のようでした。

 実はこの時、将棋に興じる老人たちの表情を是非撮りたかったのですが、突然現れた私がカメラを取り出し撮影することは場違いなので、しかたなく我慢しました。今もって、撮れなかったのは残念です。

(2)公園には、台湾の現代史の一こまを記録する記念物がいくつか設置されていますが、なかでも最も興味深いものが、画像にある台中神社跡です。私のとった一周コースを歩くなら、公園の最も奥の場所にあります。

 「跡」なので、神社本体は跡かたもありません。日本統治時代の台中神社は、新たな支配者となった国民党政府によって撤去されたそうで、今残っているのは(画像の手前から奥に続く)神社建設時の奉納者の名前を刻んだ石柱と、神社の境内にあった狛犬と一対の神馬像、それと鳥居を組んでいた太い石柱です。鳥居の石柱は、神社から離れて公園内の別の場所に寝せて置かれていました。

 この神社の敷地跡の最奥、中央に、現在は孔子像が建てられています。なぜ孔子像なのでしょうか。日本の神社に相当するものが、台湾では孔子……でしょうか?

 石垣で高くした神社敷地はさほど広いものではありませんが、敷地の中央に建てられた孔子像は、いかにもポツンと見えます。しかも、この像は金色に塗られています。像の雰囲気といい、置かれた場所といい、いわく言い難い不思議な違和感を醸し出している孔子像です。同じ敷地の狛犬といい神馬像といい、妙な表現になりますが、売れない骨董品を眺めているような…。

 この場所には、歴史的な経緯を説明した掲示板の類が一切ありません。そのために、およそ目立ない場所になっていますが、実は日本統治以降の台湾の屈折した現代史が詰まった場所なのです。

 

 そうした歴史をもった公園が、今は、台中に住む外国人たちの憩いの場所になっているとは、考えてみると興味深い巡り合わせです。観光コースにはなかなか挙がらない場所ですが、特に台湾の歴史を知るために、行ってみる価値のある公園です。市内中心部にあるので、手軽に行けるのも魅力です。

 

 

 公園からの帰り道、「老樹咖啡」という名前の喫茶店にふらりと入りました。

 喫茶店に入るなんて、何か月ぶりのことでしょうか(☜私が住む場所の近くには、喫茶店がほとんどありません)。名前のとおり、歩道に植えたガジュマルの樹が成長して枝を伸ばし、その樹の下に店の入口があります。店の通り側は大きなガラス窓になっているので中が見え、木製のドアも開店以来数十年(?)の年月を感じさせます。入ってみると、内装も立派なものでした。

 ふと、日本に戻ったような気分になりました。同時に、時間が数十年逆もどりしたような…。あの頃みんな若かった……。

 

 

 台湾滞在も、残り少なくなってきました。

 それにしても暑い。 

 今日はこれまで。