招手(手をあげる)
※近くのバス停で。近づいて来るバスに向かって二人が招手しています。よく見ると、手前の女性は右手に悠遊卡 (バス用 IC カード) を持っています。
さて今日は、ここ台中で公車(=バス)に乗る場合に必要な、「招手」を紹介します。
招手とは、タクシーを呼ぶときや、離れた場所にいる人に合図するときにやる、手招きの動作のことです。「手をあげる」と簡単に訳すこともあります。
台中市内を走るバス路線は、全部で350ほどあるそうです。そうとうな路線数です。来年には待望の地下鉄が開通するそうですが、バスは今のところ、台中の最も重要で便利な交通手段です。私の住むアパートに最も近いバス停にも、2本のバス停標識が並んで立ち、合わせて19の路線が通っています。そうとうな路線数です。
停留所の標識には各路線の経路図が載っていますが、時刻表はありません (☜日本ならば、必ずありますね) 。時刻表が無いからといって、テキトーに走らせているわけではありません。始発場所からの出発時刻と運行間隔、一日の運行時間は決まっていて、それは標識に載せてあります。いつも乗る客ならば、自分が乗るべきバスがその停留所を通過する間隔を、頭のなかで知っているのです。(☜自分が乗るバスが今どこまで来ているかを知ることができる便利なアプリもあるそうですが、残念ながら私のスマホでは使えません。)
時刻表を掲げるか掲げないか。おそらく台湾の考え方に従えば、「そんなものは必要ないだろう」ということだと思います。時間に正確で1分も無駄にしたくない日本人の発想に立てば、不親切な対応なのでしょうか?
バスの運転手は、その停留所で乗り降りする客がいる場合に停車させるわけですが、降りる客には、(日本と同じように)車内で「次降ります」ボタンを押してもらいます。一方の乗せる客ですが、乗る客には、自分が乗るべきバスが近づいて来たら自ら手をあげて、「乗ります」の意思を示してもらいます。これが招手です。こうすると、運転手は停留所に近づくごとに、このバスに乗る客がいるのかいないのか、またどれだけいるのかを、ただちに見てとることができます。運転手は手をあげる客がいたら、バスを停めます。降りる客も手をあげる客もいなければ、停めずにさっさと通過します。
私、この「手をあげて知らせる」やり方は、非常にいいことだと思います。
バス路線が発達して、同じ停留所に多くの路線が乗り入れるところから採用した方法だろうと推測しますが、このやり方が徹底すれば、日本のバス停で時おり見かけるような、数人の客が待つ停留所でバスが停まり、いったんドアが開くけれど結局誰も乗らずにまた発車する……といった、無駄で空しい光景は、きれいになくなります。こうして、運転手と乗客の間で、(乗る・乗らない)について最低限のコミュニケーションが成立しているのです。
この方法が日本にそのまま持ち込めるとは限りませんが、私はバスに乗るたびに、「これ、いいことなんじゃない?」と思って見ています。私も今は台中市民なので、もちろん手をあげて停めます。
今日の一言:日本では祝日ですが、台湾は関係ないです。
今日はここまで。