你好!台中 ~ にいはお!たいちゅう ~留学記

70まじか、ものずきシニアの台湾台中留学生活

中国語五里霧中(その2) 読む

 

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※中級レベルのテキストになると、中国語に必ずしもピンインが付きません。そこで調べようとしても、ペーパー辞書の最大の難点は、その字の発音(ピンイン)が分からなければ手も足も出ないことです。その点、電子辞書ならば、(発音が分からなくとも)手書き入力アプリを使って、発音と意味に一発直行できます。


 さて今日からは、私がいかに4技能(読む、書く、聞く、話す)を開拓してきたか、というお話です。例によって語学に興味のない向きは、さっさと直帰願います。

 

 ところで私は4つのスキルを、読む、書く、聞く、話すの順に並べました。なぜこの順なのかと言えば、中国語の学習を始める人にとって、これがアプローチの最も自然な順番になるのでは、と思うからです。特に中国語の場合、日本人の大脳にまず飛び込んでくるのは、文字としての漢字です。日本人はもともと慣れ親しんだ日本語の世界で漢字を使っているので、漢字を見ると、どう読むかの前に、その意味をただちに思い浮かべます。つまり、漢字とはまず文字(形)であって、聞こえ(音)は二の次です。見て理解するのが習い性となっているのです。

 これが、日本人が中国語学習を進めるうえで、有利なようでハンディにもなるのですよ。☜この件は、また改めて触れたいと思います。

 

 もう一つ。これら4スキルの相互の関係を言うと、やっぱり「読む」は「書く」の基礎であり、「聞く」は「話す」の基礎です。学ぶという言葉は、語源をたどると真似るに至るそうですが、確かに書くは読んだ表現をまねることから、話すは聞いた表現をまねることから始めるしかありません。がんがん読み、がんがん聞いてストックを貯め込むうちに、次第に創造的借文・創造的もの言いのスキルが育っていくようです。

 二つ目。読むことは地味で孤独な作業です。特に最初のうちは、どうしても新出単語が多いことから、辞書をめくりめくり読むので時間がかかります。さらには「この単語、調べたことがあるんだが、どうも思い出せない…」といったことを何度も繰り返すと、己の記憶力の悪さにがっかりします。確かに読むことは地味な作業なのですが、他方では時間をかければかけただけ着実に実力がつく作業でもあります。多く読めばそれだけ語彙が増え、定着し、文法が身につき、速読できるようになります。よく言う「練習は裏切らない」は、地道な読む作業についてこそ言うことができます。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本編です。「読む」のポイントは、(1)何を(2)どうやって読むか、です。

 (1)どんなものを読めばいいか? 

 実はこれ、私にはよく分かりません。それほど多くは読んでいないのです。言えるのは、面白そうだと思ったものを読めばいい、だけです。

  この考え方は無方針のようですが、実はそうではありません。そもそも人が本を選ぶとき、内容が簡単すぎたら手に取らず、難しすぎたら敬遠するのが当たり前で、結局、自分の読解力に合った難易度の本を選んでいるのです。この「自然選択原理」は、外国語で書かれた本を選ぶ場合でも同じです。教室で使うテキスト以外の本を自分で選ぶ機会があったら、まずは「自分は中国語で、どんな本を読みたいのか?」と自問してみてください。

 しかし実際のところ、書店にはどんな中国語テキストが並んでいるのか? 札幌市内の大型書店でも、そのラインナップは決して豊富ではありません。辞書類を除くと、ほとんどが入門用・初級用のテキストです。売れないものは置かないわけで、やはり中国語の学習者はまだまだ層が薄いのだなあ、と実感します。

 英語学習の場合、例えば2000語とか3000語という限られた語彙で、よく知られた物語をダイジェストする読本シリーズがありましたが、中国語にはまだないようです。

 今のところ、私が読むのはテキスト用に加工されたエッセイが多いのですが、そのなかで強く印象に残るのは、中国人にとっての文革時代(1966~76。中国人は『十年浩劫』(10年間の動乱)と呼ぶ)の記憶です。2018-12-29「厳選おすすめ中国語テキスト」に挙げた『茉莉花』も『雪花』も、作者の幼年時代を書いたエッセイですが、彼女たちの幼年~青春時代はイコール文革の嵐が吹き荒れた時期でした。

 私としては、こうした時期を書いたものを、今後もっと読みたいと思っています。

 

(2)どうやって読むか?

 外国語で書かれたものを読むうえで、必須の道具が辞書です。

 私がこれまで使ってきた辞書は『中日辞典 』(講談社)ですが、これから辞書を買う人にとって最大の関心は、ペーパー辞書と電子辞書どちらにすべきか、ではないでしょうか。

 それぞれに利点とハンディがあります。電子辞書はなによりも、軽くて携帯に便利。それと「書けるが読めない(→読めなければ引けない)」漢字でも、手書き入力で一発で引くことができる。ただし、ほとんどの電子辞書は画面が小さいため、一度に読める情報が少ない。また、マーカーで印付けする、補足情報を書きこむなど、自分用にカスタマイズすることができない。

 ペーパー版は、ちょうどこれの逆ですね。

 私自身はあまり考えずにペーパー版を買い、使ってきました。しかし電子辞書の便利さには抗いがたく、最近スマホに切り替えたことをきっかけに、中日・日中辞書アプリをダウンロードしました(有料)。コンサイス版なので、ペーパー辞書に比べると情報量は不十分ですが、手書き入力も可能なので、応急に引く分には問題なく使えると思っています。

 その便利さから、今後は圧倒的に電子辞書(スマホアプリ)の時代になるでしょう。そこには、あちらこちらのページをめくってようやく目当ての漢字にたどりつくような、ペーパー版のまだるっこさ、不便さがありませんから。

 なお、日本で出版されている中日辞典・日中辞典に加えて、私は数カ月前に「現代汉语词典」を手に入れました。これは、ご存じ中国政府お墨付きの国語辞典で、日本人学習者にとってみると中中辞典です。真っ赤な装丁が素敵です(☜本日の画像を参照)。本当はもっと活用すべきなのですが、いかんせん、今のところ成語の意味調べ程度です。

 

 さて、そうやって辞書をめくりながら教材や読み物を読み進むわけですが、実力がつくにつれて、知らない単語や分からない構文は減っていきます。知らない単語が1ページに5つ程度までならば、知らない単語を気にせずにストーリーを楽しめるのでは、と思います。

 ひとつでも意味のわからない単語があると気になって進めない、というのは病的です。「たぶんこんな意味だろう…」という程度で読み流すことが必要な場合もあります。実際、中検やHSKの試験を受けると千字程度の問題文が何編も出題されますが、そこでは知らない単語がたくさん使われています。限られた時間で流れをつかむには、知らない単語にこだわらず、前後の知っている単語から意味を推測するスキルが必要です。

 

 最後に一つの「できれば」を。

 「読む」をより一歩活用するためには、黙読するだけでなく、音読するのがいいです。だいたいの初~中級テキストには朗読CDがついていますが、仮についていなくとも、中国語を二、三年やっている学習者ならば、どんな調子で音読したらいいかは身についていますから、とにかく音読してみるのです。意味をつかんだうえでの、素読(そどく)というやつですね。☜まぁこう言っても、わたし自身ほとんどできていないのですが…。 

 

 あまりまとまらないものの、「読む」はこんなところだ。